認知症の治療は、100年以上の歴史がある感染症や癌などと違い、たかだか15年程度の歴史しかありません。医療界全体が ‘未熟’ と言っていいかもしれません。そして残念なことに、現場での家族や介護スタッフの苦労や負担、切実なSOSに反して、医師の認知症に対する関心は、決して高いとは言えないのが実情です。そこには「認知症はどうせよくならない」と決めつけるような空気が漂っている気がします。つい一年ほど前までの私自身も、そうでした。進行してしまった認知症に対しては、医療にやれることはあまりない…そんな風に思っていたのです。
しかし、本当はそうではありませんでした。一人の熱意ある医師によって、薬のさじ加減で劇的に改善を見せる認知症患者さんが続々と現れました。それが河野和彦先生によって生み出された診断・治療体系である『コウノメソッド』です。コウノメソッドは、医療界よりも先に、大切な家族を少しでも良くしたいと切実に願う家族や介護スタッフの間で知られるようになりました。その勢いに押されるように、少しずつではありますが医療者の間にもコウノメソッド実践医が増えてきています。
私自身は、2013年 9月に茨城県で初めてのコウノメソッド実践医として名乗りを上げ、笠間市立病院でコウノメソッドによる『もの忘れ外来』を始めました。認知症のにの字も知らない普通の町医者ですから、どんな患者さんが来るかとドキドキしながら。突貫工事で始めた外来であるにも関わらず、おそるおそる処方した薬で劇的な改善を見せる患者さんが現れ、ご家族以上に主治医が内心一番驚いていたのはここだけの話です。
開始からわずか5か月の2014年1月、茨城新聞が当院の認知症診療の様子を取り上げて下さいました。数日間は外来の電話が鳴りっぱなしとなり、外来予約枠はあっと言う間に5月まで埋まってしまうという驚きの展開となりました。
開始後まもなくに比べれば、診断や治療に少しは慣れたと自分がいますが、改善しつつあるご本人やご家族の笑顔を前にした時の驚きや喜びには、決して慣れるということはありません。嬉しいから、慣れたくないのです。こんな普通の医者でも治療を求めて来て下さる方がいる以上、毎日せいいっぱい治療をさせて頂きます。
【コウノメソッド開始後1年を振り返って】
● 初めての著効例『コウノメソッドがピック病に著効!』
● 『認知症の勉強法』
● 2例目の著効例『レビー小体型にも著効!』
● 癌の治療方針にも影響が… 『長谷川式が10点アップ!』
● 感じが悪いばかりではない 『もう一つのピック感』
● 日々迷いながら 『見極めは難しいけれど』
● 待合室ライブラリーできました 『当院でのタイプ別割合』
● LPCは難しい『深い霧が晴れると、荒馬がいた』
● レビー遺伝子 『レビー小体型の家族はすごい』
●メディアの威力はすごい 『茨城新聞に掲載して頂きました』
●これがなければ怖い… 『家庭天秤法に救われました』
●入院させればOKではない 『認知症と入院』
●サプリメントもすごい 『つまりはフェルガード…だったのか?』
この素晴らしい治療が一日も早く医療現場に普及するよう、一般の方向け・医療現場向け問わず
講演も積極的にお引き受けしています。
●ケアマネージャーさんにSOS!! 『ケアマネ向け勉強会』
●種をまく 『県中レジデントセミナー』
●医福労連での講演 『産休より復帰しました』
●ご家族とのネットワークに助けられています 『前を向いて』
(番外編)
●『男の介護』
【コウノメソッドは進化中…】
●優秀な地域のスタッフがいてこそ。『敏腕ケアマネに導かれ、初のCBD!』