(2011年10月16日にブログにアップした内容です)

こんにちは。今日は、検査についてのお話です。

グラム染色、という検査があります。肺炎や尿路感染と言った感染症で、痰や尿を特殊な色素で染めることで、顕微鏡で原因となっている細菌を見つけるという手技です。

通常それらの検体は培養に出すのですが、結果が返ってくるのが早くて数日後と時間的な遅れが出てしまうこと、正確な病状を反映していない結果が返ってくることもあり、誤った治療に結びついてしまうこともあり、解釈には注意が必要です。青木眞先生の『レジデントのための感染症診療マニュアル』という教科書(この教科書を読んで感染症に進みたいという若手医師がいるほど影響力の大きな良書です)にも『可能な限り自分で染色し自分で顕鏡する』と書かれ、その重要性が強調されています。

グラム染色には、大型の機械などの高価な設備や多くのマンパワーは必要としません。低コストで一人でもできるという意味では、うちのような小さな病院でもすぐにでも始められます。顕微鏡と染色液、スキルと知識があれば…。そう、このスキルと知識が最大の問題。

ちなみに総合病院などのある程度の大きさの病院となると、専門の検査技師さんがいて、グラム染色をオーダーすると電話で結果を教えてくれます。大きな病院にいた頃の私は、技師さんが教えてくれる結果をふんふんと聞いて

「グラム陽性球菌がメインで白血球貪食像も見られる…。そうですか。ありがとうございます!」

と分かったような気になってやり過ごしていたのです。本当はこれでは全然わかっていないのですが。

うちの病院にも皮膚科の先生が使われるため顕微鏡はありますが、つい数か月前までグラム染色は行っていませんでした。
ぜひうちの病院でもグラム染色を!と一念発起して院長の許可を頂いたものの、何から始めればよいのかさっっぱり。まずは物品でも揃えてみようと、インターネットで必要な物をリストアップして、検査技師の岡安さんに注文してもらいました。昔々に試みたことがはあるようで(数回でやらなくなったと聞いております)棚の奥に古い染色液が残っていましたが、期限はとっくに切れていました。数週間後に(なぜか結構時間がかかった)ようやく物品が揃い、やはりネットで引っ張ってきた手順に従い、岡安さんと恐る恐るまずはトライ。

やっているうちに、どうやらこれ、学生時代にやったような…とおぼろげな記憶がよみがえってきました。岡安さんも「多分…私もやっています。」と。微生物などの実習でやっていない訳がないのです。非常に基本的かつ重要な手技ですから。にも関わらず、2人そろって具体的な内容をつゆほども覚えていないとは情けない…ダメ学生ですね。(指導して下さった先生方、ごめんなさい!)やはり目の前に患者さんがいて、明日の診療ですぐにでも使うぞ、という切迫した状況でないと、なかなか身に付かないと言うことでしょうか。

さて、栄えある1回目のトライは、懸念通り大失敗でした。手順通りやったのに、何にも見えてこない…。何がダメなのかもわかりません。検体が悪いのか、染色の手技が悪いのか、顕微鏡の扱いに問題があるのか、はたまた目と頭が悪いのか。う~ん…。早速行き詰ってしまいました。  (つづく)