先日、院内の職員を対象とした『手洗い実習』が行われました。この実習では、あらかじめ両手に蛍光塗料の入ったクリームを塗りこんだ上で、各自が手洗いをします。その手をブラックライトの下にかざすと、クリームが残っている部分が光って洗い残しを教えてくれるというもの。

‘いつも通りに’手を洗うよう指示されましたが、私は普段より懇切丁寧に、しつこくしつこく手を洗いました。いつもの3倍くらいの時間をかけて。これでどうだ!とライトの下に手をかざしたところ…。

おおむね綺麗で洗い残しがなかったのですが、一か所だけピカ~ッと光る場所がありました。それは…手荒れがひどい部分だったのです。試しにもう一度そこの部分を重点的にこすり洗いをして(傷にしみてものすごく痛かった…)再チャレンジしましたが、やはり完全には落としきれませんでした。

手荒れはいかん

この実習の私的教訓。それは「もっとしっかり手洗いをしましょう!」ではなく…「手荒れはやっぱりしちゃいかん。」ということ。手荒れして溝が深くなったり亀裂が入ったりした皮膚は、その凹凸ゆえにどんなに頑張って手洗いしても、きれいに洗うことが出来ません。つまり細菌の絶好の隠れ家になる訳です。

ここで皮肉なのが、「頻ぱんに手洗いをするほど、手荒れしやすい」ということ。石鹸で手を洗うと、皮膚の汚れのみならず皮膚を守る作用がある皮脂(油分)も落としてしまいます。感染予防のためにとせっせと一日何度も手を洗った結果『手洗いをすればするほど清潔になる』どころか、『手洗いをすればするほど院内感染源になる』という残念な結果になりかねません。

実際に手荒れをしている手からは、していない手に比べてMRSA(抗生物質に抵抗力を持つ黄色ブドウ球菌)が多く検出されたという実験結果もあります。『さらば消毒とガーゼ』という本の中では「荒廃した皮膚においては常在菌である表皮ブドウ球菌が棲めない環境になり、より湿潤な状態で棲息する黄色ブドウ球菌が繁殖しやすい状態になるため」と説明されています。

何とかの一つ覚えのように手洗い消毒!と叫ぶのではなく、どの場面ではすべきでどの場面はスルーした方がよいのか、選択をする必要がありそうですね。同時に、手荒れ対策としてのハンドケアも、感染予防の観点から必須です。ハンドケアについては、また今度。