こんにちは。先日4歳の長男に七夕様に何をお願いしたのか尋ね、

「一日中テレビゲームをやっていられますように。」

との回答をもらい、がっかりした母です。

今日は60歳台後半の男性のお話です。

元々糖尿病で内科に通院していた方ですが、平成22年頃から物忘れ、怒りっぽさが出現し、23年夏に行った長谷川式認知症スケールでは13点(30点満点)と大きく低下していました。当時コウノメソッドを知らなかった私は、当然のように ‘認知症の精査加療のため’ 総合病院の某専門科に紹介したのです。結果はアルツハイマー型認知症の診断。

平成24年春に奥さんに「今も通院して治療を続けているの?」と聞いたところ、「いえいえ。『元々の知能が低いんだろう』って言われて終わりになりました。」と。そんなことないのに、と奥さんは憤慨していました。(失礼すぎませんか。)この頃から甘い物を過食するようになり(なんと甘い菓子パンにジャムをつけて食べていたようです)糖尿病のコントロールが悪化。秋には妻に対して怒鳴るように。

聞き返しが多くなった平成25年の夏、私が本格的なコウノメソッドの勉強に取り組み始めていました。まだ物忘れ外来を開くほどの自信はないため、元々通院していた患者さんに狙いを定めて押しつけ診療を施しては、効果を確認していた頃です。一通りのスコアを出してみると、ピックスコア11点(過食で甘い物好き・スイッチ易怒・2度童など)、頭部CTでもブロッコリと呼ばれる側頭葉の萎縮が見られるなど、見事なピック病。しめた、初心者向けです。

ブロッコリ

なぜかは覚えていないのですが、この方は7月に米ぬかサプリメントであるフェルガード100Mを先行して開始しています。そして翌月の8月には、奥さんから

「フェルガードが効いているみたい。今でも怒るんだけど、前と違ってすぐ謝るの。」

と改善の報告を受けました。この時遅ればせながらウィンタミンを処方。(今なら間違いなく初回で処方しますが、当時はおそるおそるだったのでしょうか)

更に1カ月後の9月には、

「ウィンタミンをもらってよかった。怒らなくなった。」

と奥さんの笑顔を頂きました。

11月には「健康健康!悪いのは頭だけだ!」とご機嫌で外来に現れました。機嫌がよさ過ぎてこの日のカルテには「やや多幸的?」とコメントしていますが、上機嫌は現在まで持続しているので、これは2度童の無邪気さと判断します。過食も落ち着き、糖尿病のコントロールが改善して飲み薬も減らしています。特筆すべきは奥さんのコメント。

「なんかね、思いやりが出てきたの。私が玄関を掃いたり布団干そうとする時に『やろうか?』と声をかけてくれるようになって。元気な時にもそんなことなかったのに。」

どうでしょう。家事に協力しない全国の夫の味噌汁に混ぜたい感じですね。

平成26年3月に外出先でトイレから戻れなくなった、少し物忘れ症状が進んでいる、という話を受けて、メマリーを追加し現在に至ります。外来で「すぐ忘れるのは忘れるけど。」と奥さんが言うので、もっと薬を増やしますか?と聞くと

「いや、このままでいいんです。思いやりがあるから。」

と奥さんが旦那さんの前髪を撫でながら答えます。この方が落ち着いた精神状態を保っていられるのには、奥さんの受容的な態度が大きく貢献しているな…といつも思います。

『ウィンタミン+フェルガード100M』は ピック病の患者さんの ‘ハッピーセット’ と評される所以がおわかり頂けるエピソードかと思い、ご紹介しました。

ハッピーセット

時期を少しずらして使い始めた方を見ていて感じるのは、

 ウィンタミン: 易怒や興奮という嵐を沈め凪の状態に持っていく。→家族が安堵する

 フェルガード100M: 思いやりや感謝を足してくれる。→家族が笑顔になる

という役割分担があるということです。究極の選択として、どちらか一方しか使えないとすればウィンタミンを選びますが(家族を守るため)そこにフェルガードが加わることで家族の絆が取り戻せたり、人生に優しい彩りが添えられるので、使えるなら必ず使った方がよい、とご家族には伝えています。ちなみにこのハッピーセットを使った場合、国の負担する医療費は年間で何百円と激安です。本人も家族も日本国も、みんなハッピーですね。