先日、村上智彦先生が書かれた『医療にたかるな』という本を読みました。

医療にたかるな

私は医学部4年生の夏に、実は半日だけ村上先生にお世話になったことがあります。母校である自治医大では、夏休み中に自治医大に関係する医師が勤める全国の診療所で研修をすると、旅費を一部補助してくれるという制度があるんですね。貧乏学生である私はそれを利用して、母の実家がある北海道島牧村の診療所見学をしつつ、島牧村に住む祖母に会いに行こうと企んだのでした。動機はやや不純でしたが、先生のご好意により実り多い研修をさせて頂きました。その際に、島牧村の先生の計らいでお隣りの町である瀬棚の診療所も見学させて頂き、そこで村上先生にお会いしたのです。不勉強な私は村上先生の存在を存じ上げていませんでしたが、なんとなく‘ただ者ではない感’ が漠然とした記憶として残っていました。医者になって数年後、たまたま『村上スキーム』という本を読んだ私は、読み終わってからようやく気がついたのです。「私、この先生にお会いしたことある!」と。それ以来、村上先生の活躍・奮闘ぶりを遠くから仰ぎ見る日々。それにしても村上先生が医師として瀬棚に派遣されたのが38歳の時。その頃の先生と近い年齢に自分がなってしまったという事実に、背筋が伸びます。

今回の本は、前回以上に切れ味鋭く、そして前向きな提言が沢山。改めて自分自身の医師としての方向性を見直すきっかけとなりました。村上先生が見ているのは、医療という狭い領域ではありません。医療というツールを通じていかに自分の住む地域を元気にしていくか、そんな「町づくりの視点」に感銘を受けました。

大切だと思うところに付箋を貼ったら付箋紙だらけになってしまいました。

・医師のもっとも大切な使命は予防医療である。(生活習慣の改善・予防接種・口腔ケア)

・日本の医療は世界一なのに、国民の満足度は最低レベルであるのは何故か?

→安心は、自らが参加しない限り守れないものだ。

・高齢者においては、たたかう医療より『ささえる医療』。

・これから必要なのは、官でも民でもない『公』の視点。

・地域医療とは、町づくり。

すっかり感動した私は、その気持ちを抑えきれず、村上先生のFacebookに熱いコメントを送りつけてしまいました。なかなか迷惑な話ですが、村上先生は優しく受け止めて下さり、同じ志を持つお仲間の方まで紹介して下さいました。全国的なゆるいつながりに支えられながら、私自身も自分の住む地域のために何ができるのか考え、一つ一つ実行に移していきたいと思います。