母「いて~!いて~!背中がいて~んだよ~!」

息子「うるさい!黙れ!」

初回訪問でこの会話を聞いた時、ここだけの話「…高齢者虐待?」という言葉が頭をかすめました。90歳台後半の母が痛いと訴えているのに、黙れ…ですからね。(口癖のように言っているのですが)

まさにその初回訪問の日に、仙骨部の褥創(床ずれ)が悪化して38度台の発熱もあったので、入院してもらうことに。抗生剤の点滴とデブリ(褥創の質が悪い部分を切除する処置)をすれば、間もなく良くなるだろうと踏んで、ためらう息子さんを説得したのです。褥創感染が落ち着けば、痛い痛いの訴えもなくなるのでは、なんて思いながら。

ところが思惑に反して、発熱はなかなか落ち着きません。38度台の高熱こそ出ないものの、37度台の微熱がダラダラと続いて、すっきりしない。あれ~困った、落としどころをどこに持っていこうと思っていたその時に、息子さんが面談を申し込んできました。

入院後の経過を聞いた息子さん、

「褥創を洗う手当なら今までもやったことがあるので家でできます。熱が多少あったってもう年だからいいですよ。連れて帰ります。」

そんなやり取りの後に間もなく自宅に帰った患者さん、言葉通り息子さんに毎日褥創部を洗浄してもらい、退院後初めての訪問の時には何と36度台に解熱していたのでした。おまけに褥創も色がすっかりいい色に変わり、今も順調に縮小中!医療の限界と(そもそも、入院必要だったのか?)家族の偉大さを再確認した私。

今日もこの方のお宅に訪問してきました。あいかわらずな親子のやり取り。

母「首がいて~よ~!」

息子「そんなに痛いなら、首切り落とすか?」

母「首切ったら、死んじまうべよ~!」

息子「もう96なんだから死んでもいいべよ。」

母「……。んだな。」

お嫁さんも「もう死んでもいいだろとか、私にも言えません。」と苦笑い。今は毎回この一見「え~!!」なコントのような親子のようなやり取りを、皆でひたすら笑いながら聞くという、楽しい訪問となりました。息子さん、心から尊敬しております。

梅