こんにちは。あちらこちらで息を呑むほど美しい桜が咲き誇っていますね。笠間市立病院も外でも、そして中でも!桜咲く毎日です。今日は、ぎりぎりの所で再生を遂げた70歳台女性のケースをご紹介します。

さくら

元々はお隣りの県に住んでいたご家族。震災と原発事故を機に、娘さんが笠間市に転居しました。約1年半前に一度お母さんを呼び寄せました。

数か月後から探し物が多くなり、手の振戦や意識障害(干し芋を抱えたまま3時間ボーっとしていたそうです)が出現したと、昨年の5月、すずらんの里の小森さんの紹介で当院を受診しました。長谷川式は24点。レビースコア7点(薬剤過敏・意識障害・まじめ・傾眠・振戦)でレビー小体型認知症と診断し、リバスタッチパッチ4.5mgとフェルガード100Mを開始しました。翌月には日中ウトウトする傾眠が軽減したと報告を受けました。効いたら止めろの法則にのっとり、リバスタッチパッチは4.5mgを続けることに。さらに7月、だいぶ調子はよいけれど、手の震えが気になるということで、ドパコール(パーキンソン症状を和らげる薬)も追加。

しかしここで娘さんから、元々住んでいた県に住む息子さんの元に戻るので、そちらの脳外科に紹介してほしいとの依頼があり、少々残念ではありましたが紹介状をお書きしました。

通院が途絶えてから8カ月が経過したつい先日(3月)のこと、娘さんが一人で相談に見えました。お母さんが歩けなくなりつつあると言うのです。しかも娘さんの話では、12月になって突然、紹介先の医療機関で当院から出ていた2種類の薬の処方が打ち切られたと言うのです。

「薬が中止になる理由を、向こうの先生はどんな風に説明していましたか?」

「いや、あんまり…。貼り薬(リバスタッチパッチ)はこれ以上は出せないんだとか、もう年が年だからとか…。」

それまでは何とか歩けていたにも関わらず、よくわからない理由で処方が打ち切られた翌月から、足が前に出なくなるなどガクンと歩行が悪くなったと言います。

(経緯から推測するに、当院から紹介状をもらったからひとまずは処方継続したものの、認知症診療をしようという意志がない医療機関だったのかな…と。ご家族が指定された医療機関に疑問を抱かず、そのまま紹介状を書いたのが今回の反省ポイントです。もっとしっかり紹介先を吟味した方がよかったのか?でも適当な医療機関が果たして存在したのかはわかりません。)

言いたいことはひとまず呑み込んで、まず今はお母さんの復活に力を注ぐべき時です。以前よい効果があった処方をすぐに再開。

「今を逃すと取り返しがつかなくなってしまうかもしれないから。」

とグルタチオン点滴の選択肢をお示ししました。

それから間もなく、県をまたいでお母さんが受診されました。中断された薬を再開したところ、1ヶ月とたたずに状態が改善傾向にあり「だいぶいいんです。」とのこと。

もう一声、とグルタチオン点滴15分が加わった時、奇跡は起きました。お母さん、スイスイ歩いているんです。

「この点滴ってこんなに効くんですね!!」

娘さんが驚きます。しかもグルタチオン効果は、歩行改善効果だけではありません。

「お母さんの瞳、久しぶりに見ました…。」

ここ数か月間、傾眠で常にまぶたが垂れ下がって目が見えないくらいだった方が、はっきりと覚醒して開眼しています。

「嬉しいです。これから頑張ります。」

なんとご本人の口から、意欲的な言葉と笑顔まで引き出すことが出来て、こちらまで胸がいっぱいになりました。娘さんは、お母さんを再び笠間市に呼び寄せ、こちらで面倒を見る決意をされたのだそうです。

震災と原発避難という表現できないほどの苦労の中で新たに生まれたご縁。この方のこれからの暮らしが、穏やかで満開の笑顔が咲くものであるように、私も精一杯力を尽くします。