患者さんには、5月頃から徐々に退職することをお伝えし始めました。院長や事務長に事前に許可を得た上で、混乱を避けるため、あらかじめ作っておいたプリントをお渡しする方法をとりました。口頭で退職することだけを伝えれば、多くの場合「次はどこに行くの?」「どこに開業するの?」という話になり、すべてにお答えしているとただでさえ慌ただしい外来がパンクしてしまうためです。退職後に他の先生にかかるか、新クリニックに移るかについても、私に気兼ねせずに自宅で一人でゆっくり考えたり家族と相談して結論を出して頂きたかったというのもあります。気まずい思いをさせないために、今後どうするかは一切尋ねず、自分から「クリニックに移りたい」という方だけに紹介状やサマリーをお渡しする形式をとりました。
実際には、なかなかうまくいかず。「お家でゆっくり読んで下さいね。」とプリントを渡してもチラッと見るや「なに!先生やめんの?!んで、どうするの?よそさ行くの?え、開業?どこで開業するの?」とその場で白黒つけないと気がすまないせっかちな方、後半の文章を全く読まずに「そうか先生やめるのか…。それは悲しいね…。」とその場で泣き出される方などリアクションは色々。当初は診察室内でクリニックの宣伝をするのも…と遠慮してコソコソと控えめにお話をしていたのですが、なにぶん高齢でお耳が遠い方が多いのです。しまいには耳元で「ろうきんってわかります?ろ・う・き・ん!そこの隣りで開業するんです!か・い・ぎょ・う!」となかなかのトーンで叫ぶはめになり。(本当にごめんなさい)1か月後には、もう私は開業していると家族に主張してタクシーにクリニックを探させるという強硬手段に出た認知症のおばあちゃんもいてびっくり。(開業はまだまだ先です…)