開業するにあたりお話を伺った先輩開業医の方々が口を揃えて「大事なのは人だよ!」と言っていました。でもこれってなかなか難しいですね。ご縁もありますから。コンサルタントには、スタッフ募集ではとにかく自分の理念(こんなクリニックを作りたいという想い)をしっかりと伝え、その理念に共感した方に集まってもらいましょうと言われ、とにかく一生懸命原稿を書きました。

 12月13日にスタッフの初顔合わせがあり、そこから連日スタッフトレーニングに突入。初顔合わせの日は、みな一様に緊張して硬~い空気が漂っています。

初日

コンサルタントの課す難解なワークが、緊張ムードに拍車をかける(笑)

実はこの頃、私の気持ちはほんの少し低迷ぎみでした。クリニックの中をぐるりと見て回った看護師の檜山さんが、帰りがけに、
「先生、あの、トイレにゴミ箱がないですよね。」
と言ったのです。他意はありません。ただ、気がついたから普通に教えてくれたのです。
その場では私も、そう言えばそうだね、買わなくっちゃね、と答えたような覚えがありますが。心の中では、張りつめていた心の糸がぷつ~んと。
「ゴミ箱が…なんだ~!!!」(檜山さん、ごめん笑)

ふだんは人の発言を深く捉えて悩んだりという性格ではないですし(面倒くさがりなので)、今振り返るとなんでそこでスイッチが入ったのか、自分でもよくわかりません(笑)

ただ私自身は場所も決まっていないところから、2年間かけて準備をしてきて、小さな足し算を積み重ねてきました。ここに来てようやく内装が出来上がった!医療機器も家具もようやく整った!ゼロからスタートして、全体の道のりで言えば90%まで来ている気持ちです。一方で、その日初めてクリニックに集まったメンバーは、自分たちが働く場所である‘完成されたクリニック’を想定してやってきています。(クリニック立ち上げに関わった経験があるメンバーはいませんでした)「本来病院にあるはずのあれがない」「これもない」という視点で、気がついた点を指摘してくれる訳です。

院長である自分とその日初めてクリニックに来たスタッフ。そこに年月と想いの差があるのも当然なのに、なんだか勝手に孤立感を感じてしまったのです。よくよく疲れて情緒不安定だったのでしょう。「自分が雇う側となって人に働いてもらう」という、これまで経験したことがない立場にかなりのプレッシャーを感じて身構えていたのは事実です。