もはや例外的なできごとと言えなくなってきた、2症例。いずれもクリニックに来院しました。

CASE 1)

一人暮らしの72歳女性。お盆過ぎから、不安の気持ちが強くなってきた。

偏った食事だから、糖尿病になっていると思う。目が見えなくなるのではないか。

洗濯機が壊れて下の階が水浸しになっていると主張して大騒ぎする。(洗濯機は壊れていません)

眠れない、便が出ない、入浴もしたいのに出来ない、一時は錯乱状態のように取り乱していたとのこと。

心配した息子さんが知人に相談し、日頃お世話になっている介護老人保健施設のケアマネージャーにつながりました。一人暮らしのため、とにかく主治医意見書を…とのことでかかりつけ医に相談。精神科受診を勧められ紹介状をもらったものの、初診は数ヶ月待ちと言われ診察を受けられなかったとのことで、困って当院に来院されました。事前に相談を受けた時には伝聞で状況がよく把握できなかったため、とりあえず来て頂きました。来てお話をしてみると、やはり認知症と言うより統合失調症のような精神科領域の可能性が高いと判断せざるをえず。主治医意見書など力になれることはしますが、正確な診断や長期的な薬の調整には、やはり精神科を受診した方がよいのでは、とお話しました。

CASE2)

一人で来院した82歳の女性。主訴は「電磁波が、どこに行くにもついてくる。」「セクハラがやってくる。」

診察室で上のような訴えを切々とし、時折ハッと後ろを振り返っては「ほらっ!」と鋭い目をしたり、体を激しく叩く動作をしたり。この方も精神科受診の適応と判断しました。ところが「こういう状況から抜け出したい。」と言う一方で、近隣の精神科の医療機関の名前を出すと「精神的におかしいってことはありません!」と気色ばんでしまう。話を進めようにも付き添いのご家族もいない。外来が込み合う時間帯に、延々と同じ主訴を繰り返して堂々巡りのご本人に、どうしたものかと正直こちらも困惑してしまいました。すぐに精神科受診は難しそうだと考え、やむを得ず抗精神病薬を処方することに。次回は必ず県内に住む息子さんと一緒に来院して頂くようお話して帰宅。その後包括センターからもその件で連絡があり、精神科受診に抵抗があること、内科ならということで当院に受診することになったとお聞きしました。

認知症診療を日常的に行うようになり、‘妄想’という共通点で’精神科領域と思われる方が来院することがあるのです。日ごろ認知症ばかり見ていると「いつも見ているタイプと違う…」と感じます。適切な科に回って頂く方がご本人にとってメリットがあるためそのようにお勧めするのですが、紹介がうまくつながらないこともあり。一つはこの地域で精神科初診は3か月ほど先になってしまうため、「そんなに待っていられない!」という切羽詰まったケース。(一人一人の診療に時間がかかるのでそれほど長い待ち期間が発生してしまうのでしょうか?それとも、精神科医師が足りない??)そしてもう一つは、精神科という科への偏見や心理的抵抗がハードルとなり、受診できないというケース。

最終的には専門家に委ねた方がメリットが大きいと思いますが、すぐに受診できない場合には‘とりあえず’の治療が許されるのか?は疑問です。どのタイミングでどんな風にバトンタッチするのがベターなのかの見極めも大切です。私の手元には文庫本の「統合失調症」と初心者向けのマンガしかなかったため、精神科的な基礎知識をもう一度勉強しなおそうと、精神科の教科書を注文しました。(学生時代に持っていたはずの精神科の教科書は、どこかのタイミングで捨ててしまいました。内科だからもう必要ないかと思って><)精神科の先生と顔が見えるネットワークを築いて直接個別のケースごとに教えを乞おうとも思います。間中先生、松本先生、どうぞよろしくお願い致します。

統合失調症