最近読んだ本のご紹介。

医者にはおなじみの ‘Evidence Based’(根拠に基づいた~)の自己啓発版。広く普及している自己啓発本の内容を、データとしての裏づけがあるかどうかに言及しているのが特徴です。内容が最初から最後まで面白く、一気に読み終えてしまいました。

冒頭から、カウンターパンチ。

スウェーデンでは古くから、「大半の子どもはタンポポだが、少数の子は蘭である」と言い伝えられてきた。タンポポはたくましい。それほど綺麗な花ではないが、どんな環境でもよく繁殖するので、わざわざ手間暇かけて育てようとする者はいない。一方、蘭はきちんと管理してやらなければ枯れてしまうが、丁寧に世話をすればそれは見事な花が咲く。

蘭

難しい内容を花の例えでやさしく(易しく優しく)伝えているスウェーデンという国は、人間的に豊かな国だな~…と読み進めながら、「もしやこれは…やっぱりそうだ!!」と膝を打ちたくなりました。最近勉強を始めたADHDにつながるのです!本の中では上の言い伝えを遺伝子的に説明していて、たとえばドーパミン受容体遺伝子の突然変異主 DRD4-7Rの持ち主は、ADHDやアルコール依存と関連がある一方で、この遺伝子の持ち主は、通常の月齢の子供があまり持ちえない美徳も持っており、育てられる環境によって成長の方向性が変わると述べているのです。

話は進化の過程にでまで及びます。このような変異に、種の生き残りという面で重要な意味があるのかもしれません。引用文では‘少数の子’となっているが、実際には蘭タイプの子はクラス全体の1-2割に及ぶと言われており、もはや少数とも言えないインパクトを持ちます。集団生活になじまない変わった子という扱いで個性を潰してしまうことは、倫理的な問題のみならず、社会全体を危機にさらす損失です。医療者も社会もADHDへの理解を深め、適切な環境で対応しなくては、と身が引き締まる思いがしました。