1月28日(日)まだ雪が残る日比谷で、認知症セミナーを開催しました。

日比谷公園

私自身もトップバッターでお話をさせて頂いたのですが、その後の中坂先生のパーキンソン病の薬剤のお話が、非常に興味深かったです。特に最後の、働き盛りの方が巨額の医療費を使った挙句に仕事ができない状態に追い込まれてしまった症例の紹介には、憤りを感じました。(後日、この症例の場所を聞いてさらに衝撃が…)

長尾先生の安定感あるツッコミと、突っ込まれいてることに気づいていないのではというマイペース(真摯なのであります)な中坂先生のやりとりは漫才のようなゴールデンコンビでした。壇上で笑いをこらえるのが大変でした。

茨城に戻り、発刊されたばかりの中坂先生の新著『パーキンソン病 少しずつ減薬すれば良くなる!』(ブックマン社)をじっくり2回、読ませて頂きました。

パーキンソン病

パーキンソン病の薬については、コウノメソッドでよく使っている薬剤以外はあまりなじみがなく、正直これまで苦手意識を持っていたのです。以前成書で勉強しようとトライしたのですが、複数種類ある薬の特徴がはっきり書かれておらず‘のっぺりとした’説明で、読んだはずなのに何も記憶に残らない…という状態であきらめていました。中坂先生の本は違います。これまでの経験をベースに、どういう状態の時にはどのカテゴリーの薬がお勧め、もしくはお勧めしないという‘主観’(この表現が適切かはわかりませんが)がしっかり反映されていて、初学者が読んでも理解しやすい内容でした。これからパーキンソン病と関わろうという方には、必須の一冊と言ってよいと思います。

●特に印象に残った内容

・抗パ薬(パーキンソン病の薬剤)の副作用で精神症状をきたし、‘レビー小体型認知症’とされている方がたくさんいる。パーキンソン病の半分くらいの方に、薬剤過敏性があるのではないか。薬の副作用を薬で抑えようとする「薬剤カスケード」に陥りやすい。

・その中でもドパミンアゴニストは断トツで副作用が出やすい。

・パーキンソン病と一口に言っても、発症した年齢や主となる症状によって、見た目も進行も薬剤への反応も全く

異なる。パーキンソン病とひとくくりにできない。

・特に高齢発症のパーキンソン病、認知症を伴う方は、抗パ薬の効果が出にくい傾向がある。

レボドパ・シンメトレル程度にとどめておいた方がよい。4種以上使わない方がよい。

運動症状を改善しようと躍起になり非運動症状が悪化するというジレンマに陥るため運動症状は7割くらいで満足した方がよい。

セミナーの最後に長尾先生が、これまでの学会や勉強会は、もっぱら「どの薬を使うか」にばかり焦点をあててきたが、今後は適切に薬を減らす「減薬」という行為にフォーカスをあてた勉強会の場所があった方がよい、この会はそういう場所でありたいとコメントをされていました。

減薬実践医。

いい響きですね。私も実践できるように学んでいこうと決意しました。減らすためには、その年代の方がどのような状態であるとよいかという一つの目安や基準となる状態を定義する必要があります。それぞれの科から、専門的な知識と人間を総合的に診られるバランス感覚を持った医師が集い、この年代のこの状態の方には、これは必要ではないか、逆にこれは優先度が低いのではないか、中止してはどうかと話し合う場所があればいいと思います。パーキンソン病については、早速中坂先生に相談をしながら進める「減薬教室」が検討されています。

中坂先生は、医師ばかりではなく「もっと症状をよくしたい!」という患者や家族の期待が薬を増量するという方向に加速をつけてしまうこともあると指摘しています。医療者ばかりではなく、患者さんと支える家族にも、知識や覚悟が求められる部分もあります。年齢相応の自然な衰えを受け入れる姿勢がなければ、すべての症状に薬を求めたり、不安を口にして減薬に抵抗する形になるからです。

日本という国もその医療も、新たな時代に入っていると感じました。今後の展開が楽しみです。