担当患者さんの薬剤管理の件について、クリニックに寄って下さったフローラ薬局の薬剤師、菊池先生。先生との会話の中で、服薬支援ロボの話が出ました。ご家族からこの機械の話を聞いて興味津々だった私、渡りに船で色々とお話を聞いてきました。

服薬支援ロボという機械を、ご存知でしょうか?薬を飲み忘れてしまったり、逆に飲んだことを忘れてもう一度飲んでしまう…という高齢者(特に認知症の方)のお薬問題を解決することが期待できる機械です。

機械の要点は、こんな感じ。

・1週間分の薬をカセットに詰め、そのカセットを機械にセットすると、指定した時間に音声でお知らせしてくれる。ボタンを押すだけで飲むべき薬が出てくる。

・飲んだことを忘れてもう一度ボタンを押してしまっても、もう飲んだよ、と教えてくれて2回飲むことが防止される。

一人暮らしや老々介護で2人とも危うい…というパターンでは、カセットを機械にセットするところまでフルで訪問薬剤師さんがカバーされているようですが、週1回くらいは家に行けるご家族がいる場合には、カセットを薬局まで持ってきて頂いて薬を詰めてご家族にお渡しし、家族が家でカセットを機械にセットするという体制が取れるので、薬局の負担はそれほど大きくないようです。カセットを機械にセットする手技そのものは非常にシンプルなので、普通の家電が扱える方なら大丈夫そうです。菊池先生いわく、導入当初は連休中に「薬が出ません!」とSOSコールが入ったりもしたけれど、間もなく慣れてスムーズに内服できるようになった、とのことでした。高齢の方は、新しいシステムへの適応は難しい傾向があるけれど、一度生活リズムに乗るときちんとその通りに行動してくれる傾向があるようですね。

私の担当している80歳台の認知症患者さん(女性)は、まさに上の‘2人とも危うい’パターン。当初はご主人に内服見守りをお願いしていたのですが、途中からご主人ももの忘れがあることが判明して2人とも診療するようになったのです。娘さんが近くに住んでおり、同居こそしていないものの週に何回かは顔を出してサポートしてくれています。私にこのロボットのことを教えてくれたのは、この娘さんでした。外来で「服薬支援ロボ、かなりいいです。」と。糖尿病があるにも関わらず内服がまばらなことに問題意識を持った娘さんは、当初は電話で内服を指示したりと一生懸命遠隔操作を試みましたがうまくいかず。訪問薬剤師、訪問看護師などの連携、服薬支援ロボなどのITを上手に組み合わせて、一時は服薬率100%近くまで持っていかれたのですからコメディカルチームお見事!です。

そうは言ってもどこでも誰でも利用できない事情も…。これが現状の課題です。

・寝てしまったら、起こして飲ませてはくれない(あたりまえか)

一時は100%近くになったが、最近夜に早めに寝てしまって内服率が落ちぎみだとか。

・価格が12万円前後と高い

使い勝手などは非常によい機械で広く普及するといいな…と思うのですが、価格を聞いて唸りました。今のところは、どこの家庭でも気軽に導入とはいかないですね。今回は期間限定でメーカー(日立システムズとクラリオン)と笠間市の共同実証という形をとったので、利用者である患者さんはコストフリーで利用できましたが、その期間が3月31日で終了となってしまいました。今後機械の汎用化により価格が落ちるのか、介護保険などで一部負担となるのか、などの展開があるのでしょうか。

・週1回薬をつめる負担(家族・薬剤師)

家族が薬局にカセットを持っていければよいですが、家族が仕事をしている場合にはなかなか難しいかもしれません。その場合は訪問薬剤師さんの力は必須です。でもそういう方が沢山出てきたら…。

この機械の存在意義を強く感じたため、今後の展開に期待します!

菊池先生

最後に有意義な情報を提供して下さった菊池先生、ありがとうございます。「僕が写真に写らなくても…」と後ろ向きな菊池先生(診療には前向きです)と強引に写真撮影。