6月30日、大切な仲間と「ケアニン」を上映します。

ケアニン

6月30日(土)14:30~16:30  笠間市立笠間公民館大ホール(無料・申込不要)

どうぞお声をかけあって、お越し下さい。

【医療と介護は車の両輪】

「医療って、敵だと思ってました。」

初めて会った時に、彼はポツリとこうつぶやきました。

介護施設の運営をしている男性です。非常に患者さんの心に寄り添ったよい介護をされているその方が、医療者にそんなネガティブな感情を抱いていたなんて。

三好春樹氏の本などを読むと、彼の言葉の背景や、その言葉に秘められた想いが、少しずつ想像できるようになります。これまで医療者は、認知症の新薬が出たと言ってはポーンと薬を処方し、次の外来までは知らんぷり。薬剤の副作用で興奮が増そうが、それを抑える薬によって日中ウツラウツラ寝てばかりになろうが、次の外来までの期間医師は知ることはありません。日々利用者さんの興奮や傾眠に向き合って一喜一憂している施設職員の目には、医療者の存在は「余計なことばかりする人」と映っていたのでしょう。認知症の症状に対してどう声をかけるか、どんな風に環境を整えるかに心を砕き、いかに医者にかからずに済ませるか、それが心ある施設職員の基本姿勢だったことは、まず医者の耳には入ってこない残念な事実です。そして介護者が医療を必要以上に遠ざけようとした結果、必要な医療機関受診のタイミングが遅れて身体状態が悪化したり。守ろうとしていた利用者さんを不利益にさらす事態に陥ることもあったようです。

この話には、続きがあります。最初はこんな風に言い放った彼が、その後何人もの大切な利用者さんをクリニックに連れてきてくれるようになったのです

「ずっと医療者は敵だと思っていました。でも、そうじゃない医療もあった。」

彼がそんな風に言ってくれた時、私は本当に嬉しかったし、同時に彼の介護者としての良心を絶対に裏切ってはいけないと緊張しました。

ナラティブなアプローチ、よい介護は生活の基盤としてぜったいに大切。それを継続している介護スタッフを、私は心から尊敬します。でも、怒って棒を振り回してしまう利用者さんを2-3名のスタッフでなだめないといけない介護現場で、他の利用者さんに良質な介護を提供することはできるの?とも思うのです。コウノメソッドなら、1-2包のウィンタミンを飲んでもらうことで、そんな方を穏やかにすることが可能。少し眠そうならいつもよりも内服量を少し減らそうか?そんなさじ加減も介護スタッフの仕事になります。次の外来までに絶妙な内服バランスを見つけてくれる施設は、本当に目の前の方をよく見てくれているんだな、とありがたく感じます。

「その症状、大丈夫ですか?もう少し薬を調整します?」

「あ、大丈夫です。このくらいならうちの施設では大丈夫。活気がある方優先で。」

施設としての基準が明確で、すがすがしいほど。

なんでも薬で解決して、という医療だけではダメ。声かけだけで頑張る!という介護だけでもいまいち。医療と介護が上手にタッグを組めば、最強です。どこまでを病気の症状として扱うか、どこまでを加齢に伴う衰えとして受容するか。明確な正解なんてないけれど、それをみんなで模索する先に、その方の幸せがあるといいな、と思います。