(2)糖質は控えめに

後に出てきますが、長いこと脂質に様々な病気の責任を押しつけていた真犯人…それは糖質でした。

糖質は、糖尿病肥満の原因となるばかりか、血管の炎症を引き起こして心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる血管イベントの原因になります。AGEという終末糖化産物を形成し、老化も引き起こします。

また慢性炎症の結果、アレルギーや膠原病を引き起こしたり、精製糖質はがん細胞の好物でもあるため、がんにもなりやすくなることもわかっています。最近ではアルツハイマー型認知症の予防の全貌が明らかになりつつありますが、ここでも糖質過多が大きな要因とされています

点滴

一見全く異なる分野と思われる、重要どころの病気ほとんど全てが、糖質によって引き起こされるというのは、とても恐ろしいことですね。でも裏を返せば、糖質を適切にコントロールすることで、『ほとんど全ての病気にかからず元気でいられる』ということは、素晴らしいニュースだと思いませんか?

  • 私には無理!?

糖質さえ控えれば、血糖もスイスイ下がり、肥満も解消し、心筋梗塞や脳梗塞、癌で命を落とす心配をしなくてよくなる。ついでに認知症のリスクも大幅に減る。いいことづくめですね!…と外来で申し上げると、喜ばれるどころか、かえって暗~い表情になってしまう方が多くいます。圧倒的に女性が多いです笑

「甘いものを食べないなんて…私には無理!」「意志が弱いので。」

「梅干しと沢庵だけでご飯2杯は食べられるのに!」

スイーツ

 そうなんです!私もメガビタミンに出会う前は、同じように感じて挫折しました。糖質のみを我慢する糖質制限がうまくいかないのは、きちんと医学的な理由があるのです。上手に乗り越えられる方法もあるので大丈夫です。

【少し難しいけれど大切な話】

私たちの体の中で起こる活動は、すべてATPというエネルギー通貨を単位にして回っています。ATPが沢山生み出される人は元気はつらつで病気になりにくく、ATPが少ししか生み出せない人は、疲れやすく不調を抱えて病気になりやすいと言っていいと思います。

このATPを生み出す回路は、主にこの2つからなっています。

  • 解糖系 
  • クエン酸回路+電子伝達系

解糖系というのは、糖質からエネルギーを作る仕組みのこと。栄養がきちんと満たされていれば、この解糖系を経て、次のステップであるクエン酸回路+電子伝達系に進むことができます。

解糖系で生まれるATPは2単位、次のステップまで進んで生まれるATPは38単位ですから、きちんと最後まで進めた方がエネルギーがたくさん生まれて元気でいられます。

エネルギーの燃料は、糖以外にもう一つ、脂肪がありましたね。ブドウ糖がないと、肝臓で脂肪酸が燃やされてエネルギーが作られます。この場合は、直接クエン酸回路+電子伝達系に入ります。ここで生まれるATPは、なんと129単位

糖よりも、効率よくエネルギーが生まれるのがわかります。この反応ではケトン体という物質ができるので、この流れをケトン回路と呼びます。

少し難しい話になってしまいましたが、ここはとても大切です。最近ケトジェニック・ダイエットという言葉が聞かれるようになりましたが、これは「脂肪を燃やしてエネルギーにする=ケトン回路をしっかり回せる体になりましょう!」というダイエット方法のことなのです。ケトン回路は、糖質を断って12時間前後でスイッチが入ると言われています。

  • 意志が弱いんじゃない!単なるエネルギー不足!

「糖質制限はきつくて続かない!」という人は、意志が弱いのではありません

エネルギーを生み出すクエン酸回路・電子伝達系が、タンパク不足や鉄不足によりうまく回っていないだけなのです。

糖質を摂って解糖系にしか進めなければ、ATPはたったの2単位。これではエネルギーが足りないため、体は「エネルギーが足りな~い!もっと~もっと~!!」とエネルギーを欲しがります。甘いもの、炭水化物を食べても食べてももっと食べたいのは、「必要なATPが作れないよ~~」という体の必死のSOSだったんですね。

HELP

解決法は簡単です!体が求めているエネルギーを、先にしっかりと与えてあげればいいのです!体が必要としているタンパク質・脂質を先にガッチリと入れてあげれば、クエン酸回路がしっかり回り、エネルギーが満ち足りてきます。すると…あら不思議、あんなに食べても食べてもまだ食べたかった甘い物も、炭水化物も、自然とそれほど食べたくなくなっていきます。

糖質制限の前に、まず高タンパク!!!これが健康的なダイエットを成功させる最大の秘訣です。

  • 女性こそタンパクを!

特に女性は、男性と違って筋肉量が少ないので、急に厳格な糖質制限を始めると挫折することが多いです。糖質が急に体に入ってこなくなった時には、血糖値を最低限保つために肝臓で糖を作る糖新生という活動が起こりますが、その材料が筋肉から運ばれてくるため、筋肉があまりない人ではこの糖新生がうまく行われず、だるさや疲れやすさを感じてしまうのです。

これを回避するにはいくつか方法がありますが、糖質制限をあせらず段階的に進めていく、プロテインなどでタンパク質をしっかり補う、などの方法があります。女性こそ、男性以上に高タンパクが重要なんですね